「教えない」

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キャラメルの包み紙 バンビ

 

前回記事防災マニアのつづき

 

道東のガイドをお願いした女性はハンターの資格を持つ父親と狩りに出かけるような娘っ子であった。
その人に聞いた話を思いだそうとする。
確かこんなことであった。
この父がいないと食べていけない自分に気づき、自分の食い扶持を自分で確保するために猟銃所持の資格をとった。

その晩泊めていただくことになっているその人の家に向かう道中、しばらくの間ののち、その言葉は放たれた。
猟銃は家に隠してある、どこにあるかは「教えない」。
きっぱり
おごそかに


あ?いや、どこって、聞いていないどころか思ってもいないことです、食扶持確保ゆえの猟銃所持、う〜むと感じ入りましたが、「鉄砲」という具体的な像を結んでいなかった、というか、

戸惑い、

聞いていないこと思ってもいないことを「教えてあげない」と言われた、
この、あ?の感覚、そうだ、あれだ。四半世紀昔に見たテレビCM。

ポリンキーというスナック菓子のコマーシャルのフレーズ「教えてあげないよ」。
あ?三角形の秘密って、いやそんなこと考えてもいないことに、教えてやらない、って言われても・・・
なぜ三角形なのか、そのスナック菓子の最大の特徴である三角という形状に関して疑問を持ってしかるべきだと?
そうか、しかるべきことを思いつかないことはうろんであるな。

三角形のスナック菓子さんに向かって、秘密を教えていただけないでしょうかとお伺いをたてることは
もしかしてコミュニケーションなのか?
そうか、そうなんだな、
教えないということをわざわざ唄ってみせるのは芸だよねえ?

このコマーシャルに対して、秘密を教えてくれないからと不快に感じている感覚がある、とネットで知った。
教えてやらないという態度が嫌なのかな、
答えがいつも用意されているという前提で生きているのかな、それはさておき、


「教えない」ことの理由はきっといくつもあるよねえ。
猟銃を持っていると聞けば、銃を見たがる人、触りたがる人がいるのだということか。
こいつあぶなそう、という警戒、
他には、う〜ん、
こいつはムシが好かないから大事なものから遠ざけたい、という心理だとか?

いや、
話している相手に向けられた言葉、とも限らない、半ば自分に向けた言葉、
そこにはポリンキーの軽やかさはなかった、うろんなおつむりに残る重さがあった、
それは、殺すということの重さであるのかもしれない。