コロナとマネーゲーム

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撮影/美幌町

 

夜のフライト、座席に付属のオーディオでは音楽番組が流れている。
両耳にイアホンを差し込む、機内にトランペットが響き渡る。
北原ミレイが唄う「石狩挽歌」だ。1975年、なかにし礼が作詞し、浜圭介が作曲した昭和歌謡の名曲。

 

あれからニシンはどこへ行ったやらーー
凍てついた海原に向かってたたずみ、ニシンで沸いた銀色の海を、自分の若い時と重ねる。

 

北海道で御殿が建つほどニシン漁が盛況であったのは、明治30年のピークから昭和30年(1955年)にかけて。それ以降水揚量は激減した。

2020年4月第2土曜日、女満別発羽田着のフライト。
照明を落とした機内にて、トランペットのソロがイントロと間奏に浪のように繰り返される。
座席数144に乗客は13名である、10分の1もない、
これはどうしたことか、これではどうしたものか、とコロナウィルス騒動に薄ら寒い。

あれからニシンはどこへ行ったやら
インバウンドのお客さんはぱったりと途絶えた


ウィルス感染恐怖に人々は疲れ、余裕を失っていく。

何度も訪れ、終の住処と求めたその地で亡くなった方がいる
予定していた集合住宅に入居が「何らかの事情」で一時待機となり、仮住まいの民家に宿泊していたところ、その隣の家から出火してしまい、その方は亡くなった

東京から戻った息子が感染していることを近所に詫びに回るが、菓子折りが受け取ってもらえなかった

感染者のいる家は投石や塀に落書きされた

なんだかねえ、いけませんねえ・・・
アメリカでは護身用に銃が一層売れてるそうだけど、日本では村八分の原理が露わになるのですね。
移住ではなくて2ヶ所間居住のライフスタイルを試みているものとしては、
東京など感染の割合が高い地域から来る人を警戒する向きもあるのかな、と我が身に寄せてみる。
いやしかし、必要以上の心配は免疫力を削ぐのだわ、心が弱るのがいけません。


100年ほど前の世界的パンデミックスペイン風邪、当時の世界人口およそ20億人、その4分の1程度が感染し、億に近い人が死亡したのではないかと推定されている。
1918年から1920年にかけて、日本では3度の急増をみた。

2020年のこのウィルス騒動も、もしかして何度かピークを繰り返すことになるかもしれない。
終息したとしても、ほどなく次の「未知なる」がすり寄ってくるかもだ。
生き物とウィルスは共生関係にあるのですから、何らかの折り合いがつくのを待つしかない。

むしろ、
免疫力を削ぐほどの気がかりは、まずは、食べ物のことです。
北海道移住勧誘のアピールは、声を揃えて農業、林業、土地の恵みの豊かさ、道産子のおおらかさ。
そうなんですよ、コロナ疎開に来たらいいさぁ〜、って笑ってくれる人々がいるところ、
さあ行こう道東へ、パウダースノーが明るい空から降ってくる美幌町、ナイス。

しかしですねー、守りたい産業の「ルール」があれあれって間に、変わっていってるよねえ。
北海道の売り文句、地産地消とは逆の方向に向かってますよ。
なんかさ、違うことになってる、農家さんも色々だろうけど・・・・・

あっ、と相手が視線を投げる方向に気をとられた隙に、目の前の何かを掠めとられる、その何かが例えばおまんじゅうくらいなら微笑ましいのですけど、
コロナ一色のテレビに人々がすっかり気を取られている間に、スススッと動いているものがあるのよね。
おまんじゅうではなくて、みんなの「水」や「種」の「権利」だったりね。

 

法の改正とやらも、広く見ればマネーゲームのルール変更。
すわ、一大事でごじゃる、もうこれをやるしかないですわい、とか騒いでルールを変えていくことも、あるよね。巧みな扇動、大掛かりなインチキ、かも。やることが、大きいな。


もっとも、
このウイルスの影響は、もっと深く長く続くかもしれない。ゲームのルールが変わる程度のおはなしではない、ゲームそのものが成立するかどうかの、大きな大きな転換を迎えてしまうのではないか、とも想像する。

なんにしろ、
あたいの目下の心配は、飛行機料金の値上がり、小さいな、わたし(のお財布)。