カネゴン4417

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 「4丁目セントラル」、ただのセントラルではなくて4丁目ですか、
美幌町の大通りに面した3階建てくらいのビル、これはむかしの百貨店かな?びほろデパートというのがかつてあったと聞くけど、これかな。

 

私はデパートではエスカレーターではなくて階段を歩くようにしている(エレベーターはなるべく敬遠)、各階の売り場を階段で移動すると、別の空間にきた感覚がつかめます。

こちらセントラルさん、はい、ごめんください。

この店は半階ごとに売り場となる構造、
(半階ごとにゆるやかに階層がつながり、目線にも高低差が生まれるので実際の床面積よりも広く感じる開放的な空間効果がある、スキップフロアというらしい)
食料品売り場は無い、けど、衣料品 靴 カバン 文具 玩具 スポーツ用品 引き出物 金物屋の修繕部門まである、総じて棚は密度濃く、いや、コーナーによっては発注が止まっているような力の抜け具合もあり。部門によっては昭和から平成の製造年が雑居している、かのような、日用雑貨の歴史が陳列されているような品揃えだ。もちろん館内「地層」表面は新入荷の品々です、今を生きるあなたのお買い物に間に合います。

身の回りの要を並べるとこうした商品構成になる、町のど真ん中にある頼もしい存在?町の機能を担う商店に求められるのは、ひたすら売れ筋を短い回転で棚にのせ欲望を喚起することで成立する商法とは反対のあり方、ということかな。

よろずや。懐かしい単語が蘇ってくる。時空のねじれか。
しかもこの店の出入り口は東西の2カ所にありどちらも車道に面しているので、まだまだ不案内の町ゆえ方角がわからなくなった。
まどいの店内、店内装飾の癒し系編みぐるみがあちこちを賑わせている、手のひら大のものが多い中、うっ、これは!

カネゴン 編みぐるみの 

カネゴンとは円谷プロダクションによる特撮ドラマシリーズ「ウルトラシリーズ」に登場する怪獣。初登場作品は『ウルトラQ』。第 15 話「カネゴンの繭」、オリジナルは 1966 年(昭和41)放送。
全長約2メートル。頭部はガマグチ財布の形状(口金ではなくジッパー付き)で、主食は硬貨とお札。1日に必要な額は3,520円。胸のレジスターのカウンター(¥5桁まで)に体内の金額が表示され、それがゼロになると死亡するので、金を食べ続ける。
1日に必要な金額は3,520円、ですかー。今の金額で言うと2万円相当の金額だとか。

値札は無い、売り物では無い、紺の制服の店員さんの手作りなんですが、ありがたいことに分けていただいた。
胸の刺繍、この4417とはなんですか?カネゴンの残高カウンターのことは後で調べたことで、紺の制服の方にお尋ねした。
さあ、編みぐるみの本の作例にそうあったから、とのご回答。ふぅ〜ん

カネゴンが誕生したのはどのような時代であったのか。
1967年(昭和42年)所得倍増計画達成
1968年(昭和43年)GDP世界第2位になる
スーパーマーケットの黎明期です。4丁目セントラルの建築のスタイルはこの頃のものではないか。


4丁目セントラル びほろデパートとは違います、むかしは安藤馬具店という馬具を扱う店であったそうで、美幌史をひもとくと馬とのお付き合いのことが際立っている。

美幌神社に合祀されている相馬妙見神社は馬を守護する神さまを祀ったものだそうで、
美幌叢書第9号「入門むかしの美幌」の目次にあります、美幌馬物語ー馬なくして美幌は、北海道は語れないー 軍馬 農耕馬 馬車馬 農耕馬を中心に、飼養頭数は3500頭前後、馬市が盛んであった。
農耕作業に農作物や肥料運搬に欠かせない存在だったのですね。農家の荷物運搬は馬車が主役、馬そりは冬期間の唯一の交通や輸送の手段でありました。

美幌には競馬場もありました。1909(明治42)年~1949(昭和24)年
秋祭りの余興で開催された草競馬だったようです。
馬がいれば馬屋があり馬具を商う店がある。
美幌100年史によると昭和25年度国勢調査 職業別戸数 馬具店 五 とある。
 
昭和30年代半ばより農作業の機械化が急速に広まった。敗戦により軍馬の需要がなくなり、また、トラクターなどの農耕機械が普及し、1949(昭24)年、馬たちも減り続け、競走場もいつしか姿を消した。安藤馬具店もやがてスーパーマーケットとなった。


おもちゃ売り場では退色したパッケージのイラストにお宝の可能性を探ってみる。
プラモデルマニアがレア物をゲットできたという話を後日知った、むべなるかな。
筒状のラッピング用の紙をまとめ買いする、レトロな模様は「紙ものラブ」の乙女のハートをきゅっと掴めそう。都内のレトロ紙ものを商う店に売りに行ってみようかな、とチラと思ったり(笑)

値札(値段のシール)の金額はいつでもいつまでもそれが新しかった時のままなんですね、
未だレジに持っていかれることのないこれらの品々の値札の数字とは、こうありたかったこうあるべきだ、でもかなわなかった希望、かなわなかった願い(これまでのところ)。
見切り品処分価格という辻褄合わせはほぼ無い、セントラルにはそんな発想は、あまり無い。
ここにカネゴンがいたのは必然のように思えてきた。
お金で生活している人は誰も皆、多かれ少なかれカネゴンですよね。
資本主義社会の経済原理に生きる私たち。

4丁目セントラルはアダムスミスの神の見えざる手に揺らされながら、十年一日のごとくあり続ける。

 

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キューピーマネキン、ズボンの裾の赤いラインが素敵
このマネキンは美幌の骨董雑貨屋あれこれ屋にもいるよ

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